よこはま動物園ズーラシアのアジアゾウたち

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今回は、よこはま動物園ズーラシア(以下ズーラシアと表記)でくらすアジアゾウたちを紹介します。

昨年12月に約4年ぶりに訪問することができました。

ズーラシアは、動物園では日本最大級の広大な敷地に世界の8つの地域を再現したエリアがあり、そこで生き生きとした姿を見せる動物たちと、彼らが棲む環境やその地域の人々の文化なども知ることが出来る総合博物館のような動物園です。

さらに、バックヤードには生き物の種の保存を目的として「横浜市繁殖センター」という非公開施設があり、国内外様々な希少な野生動物を飼育し種の保存に取り組んでいます。


今回は、そこで暮らすゾウたちや、彼らが暮らす環境などを紹介します。


1.個体紹介

現在、2個体が飼育されています。どちらもインドで生まれ、1999年のズーラシア開園にあわせてインドのアッサム州立動物園から来園しています。

まずは、オスのラスクマル(1990~)。


がっちりとした体格と、一対の牙が特徴的です。鼻や耳の部分が色素が抜けて肌色っぽくなっているのが特徴的。
性格は陽気で遊ぶことが大好きなようです。
名前の由来はインドの公用語のヒンディー語で「王子」という意味だそうです。


飼育員さんによるガイド「とっておきタイム」によると、彼は飼育員さんがホースで水をあげるときは口を開けて直接飲むのが好きなのだそうです!


つぎはメスのシュリー(1994~)。


ラスクマルより一回り小さく、牙は口外から少ししかみえません。肌の色はグレーで色素が抜けた部分は少ないのと、尻尾が地面に付く位長いのが特徴。
性格はマイペースで気分屋。
名前の由来はインドの女神「ラクシュミー」の別名「シュリー」に由来するのだそう。


飼育員さんによるガイド「とっておきタイム」によると、水を飲む際には飼育員さんがホースで水をあげるときも鼻に水をため込んでから飲むのだそうです。

ラスクマルのように直接口からは飲もうとしないのだとか。


また、元々ズーラシアにはメスのチャメリー(1991~)もいました。

ラスクマルやシュリーと同じところから来園し、長年暮らしていましたが、2016年に同じ横浜市の金沢動物園に繁殖を目指して移動し、2019年には豊橋総合動植物公園に移動しました。(1)

元々負けず嫌いな性格で、一回り大きなラスクマルにも強気で向かうところもあったのだとか。

現在は豊橋にてオスのダーナ(1971~)との間での繁殖を目指しているそうです。もし妊娠が確認されればズーラシアに戻ってくるのだとか。こちらも楽しみですね!


2.ゾウたちが暮らす場所

彼らが暮らす場所は、ズーラシアの正面ゲートから入園してすぐの「アジアの熱帯雨林」エリア。


こちらが正面ゲート。この先に・・・!


木の門をくぐると、一気に木々が生い茂る熱帯雨林のような光景が。
ここから先はアジアの熱帯雨林エリアです!


門をくぐった後、木立の中を歩いて行きます。横浜なのにまるで本当の熱帯雨林に入ったような感覚が味わえます。


木々をくぐったその先に、ゾウたちに会うことが出来ます!!

ズーラシアの施設は運動場が2つございます。


まず先に見られるのがラスクマルが普段暮らす運動場。コンパクトですが、堀越しに立派な姿を遮るものがない状態で見ることができます。


場所を変えれば、こんな風に森の中でゾウに遭遇したかのように見られるポイントも!!
植栽が豊富なズーラシアならではのポイントです。

お次は普段シュリーが暮らす運動場。


こちらもモート(堀)で区切られた運動場。木陰となる大きなクスノキが目を引きます。左端にプールも。運が良ければ水浴びをするところを見られるかも知れません!


この運動場をラクスマルがいる運動場から眺めるとこんな感じ。横に長い造りで、ラスクマルと同居しないときにも柵越しにふれあうことが出来ます。


シュリーが何やら大きな筒の中に鼻を入れています。
こちらは自動で餌が出てくる自動給餌器。4年前に訪問したときにはありませんでした。

自動給餌器があることで、飼育員さんがいない時間やランダムな時間に給餌でき、ランダムな時間にすることで彼らの索餌行動を促す効果があるようです。



隣の運動場のラスクマルも自動給餌器から餌を食べようと鼻を伸ばしています。

体重が5トンもある大きな彼のパワーでも壊されにくい頑丈な素材で造られています。
この自動給餌器は「アニマルペアレント」の寄付金を使って整備されたのだそうです。(2)


運動場を悠々と歩くラスクマル。訪問時は側頭腺から液体が垂れておりおそらくマスト期だったかもしれません。


時折ラスクマルとシュリーは同居していることも。とても仲が良く互いにじゃれ合ったりする姿も見られます。

この2個体の間ではまだ繁殖は成功していないようですが、いつかその日がくることを願っております!


ゾウの運動場前にはベンチもいくつか用意されています。ここでゾウたちを見ながら一休みするのもアリだと思います!

おまけ 個性豊かなアジアの熱帯雨林の仲間たち

今回はアジアの熱帯雨林エリアで暮らすアジアゾウをメインに紹介しましたが、このエリアにはさまざまな生き物たちが暮らしています。ここではその一部を紹介します。

1 マレーバク(Tapirus indicus)


タイやマレーシア、インドネシアのスマトラ島の熱帯雨林や湿地、水辺に棲むバクの1種。
ここではメスのロコ、オスのアルタイル、2022年に生まれたロコの息子のひでおの3個体が暮らしています。

写真は左がひでお、右がロコ。

ズーラシアの施設は彼らの暮らす樹林を再現し、水場に入って泳いだり等の姿も見られます。

更にバックヤードにある横浜市繁殖センターでも飼育され、そこではオスのブレンディング、メスのハイジ、息子のナガの3個体が暮らしているそうです。
繁殖などを通じて、マレーバクの種の保存に積極的に取り組んでいるそうです。

2 トラ(亜種:スマトラトラ)(Panthera tigris smatrae


インドネシアのスマトラ島に生息するトラの亜種で、現生のトラの亜種では最も小さな体をしているそうです。

ここでは、オスのアカラ、メスのデルと娘のムジュの3個体が飼育されています。
元来野生では単独生活がメイン。そのこともあり普段運動場に出ているのは1個体だけです。

今回はオスのアカラを見ることができました。

アカラは繁殖を目的として高知県のわんぱーくこうちアニマルランドから来園しました。ムジュとの間での繁殖が期待されています。

3.ウンピョウ(Neofelis nebulosa)


スマトラ島やボルネオ島、東南アジアや中国の森林地帯に生息するネコ科動物の1種。
ヒョウに似た姿をしていることと、斑紋が雲形に見えることから「雲豹」という和名が付いたのだそう。

樹上での行動が多く、小型哺乳類や霊長類、鳥類などを捕食しています。

現在国内の動物園で見ることが出来るのはズーラシアだけです!

現在はオスのスパイダー、メスのブーとステイシーの3個体が飼育されています。

4.シシオザル(Macaca silenus)


インド西部にある西ガーツ山脈の森林地帯に生息するサルの1種。

分類ではニホンザルが属する「マカク属」の一員です。

名前の由来はライオンのような長く、先端に房のある尻尾をしていることから付けられました。

一見すると恐ろしげな顔をしていますが、群れのコドモに優しい姿や仲間で寄り添う姿や高い運動能力は必見!
昨年には24年ぶりに繁殖に成功し、群れの中でこどもたちが育つ様子を見ることが出来ます!

野生では生息地の開発で個体数が減少し、約2500個体しかいないといわれています。

5.カンムリセイラン(Rheinardia ocellata ocellata)

ベトナムやラオス、マレー半島の熱帯雨林に生息するキジの仲間。

オスの尾羽が1.7mほどにもなり、鳳凰のモデルとも言われることもあります。

野生では生息地の開発や狩猟などにより数を減らし、絶滅が心配されています。

日本では現在4箇所の動物園で飼育されていますが、そのうち常に公開しているのはここと熊本市動植物園のみです。

ズーラシアでは繁殖にも何度も成功し、時期によってはヒナを見ることも出来ます。



今回はズーラシアで暮らすアジアゾウたちと彼らが暮らす場所、そしておまけとしてズーラシアのアジアの熱帯雨林で暮らす他の動物たちをご紹介しました。

もし興味がありましたら、訪れてくださると嬉しいです。

神山



引用文献

個体情報などはよこはま動物園ズーラシアの園内パネルの情報を引用しています。
(1) インドゾウのチャメリーが横浜市から豊橋市に出園します https://www.hama-midorinokyokai.or.jp/zoo/kanazawa/author1709b/b56827e9e2fd830c363bf7f9a28177ad74629365.pdf 2024年3月22日訪問
(2) 令和3年度アニマルペアレント決済報告 よこはま動物園ズーラシア https://www.hama-midorinokyokai.or.jp/hama-zoo/authorff5a7/481c0ece5b849fbbc389adae195c7abe6581e53e.pdf 2024年3月22日訪問


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