神山です。
前回は、いしかわでぜひ見ておきたい「いしかわ三鳥」をご紹介いたしました。
今回は、いしかわ動物園のリクガメの飼育エリア「カメたちの広場」と、そこで暮らすカメたちの紹介をします。
リクガメたちは園によってはふれあいコーナーにいたり、種によってはペットとしても飼育されていますが、ここでは野生動物としての彼らの生き生きとした姿が見られます!
個人的には、いしかわの隠れたメインスポットだと思っています。
カメたちの広場の全景はこんな感じです。
ガシガシ歩く迫力ある姿を間近に観察できます!
また、放飼場に生える草を食べる姿もよく見られます。
インドやパキスタン、スリランカの森林や藪地に生息する種で、大きさは15cm~30cm程。
実は私も家で、インドホシガメと、ギリシャリクガメの2種のリクガメを飼っています。
カメハウスには、彼らの寝室と、インドホシガメ (Geochelone elegans)や、ホルスフィールドリクガメ (Agrionemys horsfieldii)といった小型のリクガメが暮らすケージがあります。
広場で暮らすカメたちの紹介
放飼場のシェルター(隠れ家)の上には彼らのオブジェが。彼らはパワーがあるためシェルターも堅牢なつくりに。
マダガスカル島の乾燥地帯や森林地帯に生息する種で、大きさは40cmほど。
ここでは、7種のカメたちが生活しています。
1.アルダブラゾウガメ(Aldabrachelys gigantea)
インド洋に浮かぶアルダブラ諸島に生息する巨大なリクガメで、最大クラスだと、甲羅の長さが1.2m、体重は200kgを超えるといわれています。
国内の動物園・水族館ではよく見られる種で、ここでも数個体が広い放飼場で暮らしています。
2.ケヅメリクガメ(Centrochelys sulucata)
アフリカ大陸の西部~東部の赤道以北のサバンナや砂漠に生息する種で、甲羅の長さは最大で80cm超のアフリカ大陸最大のリクガメ。
国内では動物園や水族館をはじめ、観光牧場や一般個人のペットとしての飼育など、かなりの個体が飼育されています。
ここではゾウガメたちと一緒に飼育されており、繁殖の実績も多数あります。
3.ヒョウモンガメ(Stigmochelys pardalis)
アフリカの南部~東部のサバンナに生息する種で、アフリカ大陸ではケヅメリクガメに次いで大きくなるリクガメです。最大で70cm、平均でも50cm近くに成長します。
名前通り、甲羅にヒョウのような模様があることが特徴的な種で、背甲がドーム状に盛り上がっているのも特徴的です。
4.ホウシャガメ(Astrochelys radiata)
名前の通り、甲羅に放射状の綺麗な模様があるのが特徴的です。美しい姿からペット目的の密猟が横行し、絶滅が心配されています。
国内の動物園では、密輸された個体が保護される形で多数飼育されています。
5.アカアシガメ(Chelonoidis carbonaria)
南米のブラジルやパラグアイなどの熱帯雨林などに生息する種で、大きさは30cm~45cmほど。
名前の通り、足の部分の鱗が赤みを帯びているのが特徴的です。
リクガメは植物食が多いですが、彼らは昆虫や動物の死骸など動物質のものもよく食べるため、雑食傾向が強いのが特徴。
6.インドホシガメ (Geochelone elagans)
名前の通り、甲羅の星状の模様が特徴的で、これは個体によってさまざまなバリエーションがあります。
その姿から、ペットとしても人気があった種でしたが、そのための密猟が横行しています。
密輸された個体が国内各地の動物園や水族館で相当数保護されています。
カザフスタンやロシアなどの中央アジアの草原や砂漠に生息する種。大きさは15cm~25cm程と比較的小柄なリクガメ。ハンバーガーくらいの大きさです。
7.ホルスフィールドリクガメ (Agrionemys horsfieldii)
冬場の低温だけでなく、夏場の高温を乗り切るため、冬眠と夏眠をおこなう種として知られています。
国内ではペットとしても飼われることの多い種で、かつては野生から相当数の個体が輸入されていました。
リクガメたちの密輸問題
リクガメたちはペットしても飼われることもあり、そのための野生個体の捕獲がおこなわれています。
中には、国際的に規制されているにもかかわらず、その目をかいくぐって密輸されるのも後を絶ちません。
その代表種のホウシャガメ。元々CITES I類に指定され、国際的な商取引は規制されていますが、密輸がおこなわれ、それもあり、野生では個体数がかなり少なくなりました。
密輸された個体は、すし詰め状態で運ばれることもあり、劣悪な輸送状態のためその多くが到着時には亡くなっていることもあります。
更にリクガメは捕獲しやすく、1個体当たりの寿命が長いため、新しい世代が繁殖可能になるのも時間がかかり、益々個体数が減少しやすくなります。
国内の動物園・水族館では、密輸された個体を保護し、飼育しています。そういった個体は由来がわからないことが多く、野生には安易に戻せないため、やむを得ず保護されています。
いしかわで見られるインドホシガメも、こうした経緯で飼育されています。
先程説明したように、ペットとしても飼われていますが、飼育するにも、彼らは野生動物。そう簡単にはいきません。
運動量が多いため、広めの飼育スペースが必要になります。
特に、ケヅメリクガメやアルダブラゾウガメなどは大きくなるため、成体は水槽では飼育できず、専用の放飼場と寝室を設ける必要があります。
また、外気温動物のため、彼らが生息する環境の温度や湿度もコントロールする必要があります。
種によってはそれらをつくり出すことが難しいのもいます。
そして、彼らが病気になった時、診てもらえる動物病院はイヌやネコよりも圧倒的に少ないことが多く、病院探しにも苦労します。
カメたちの広場には、このような掲示があります。
この掲示は、動物園にしては珍しく、飼育している方にも向けられたメッセージです。
飼うことを真っ向からは否定していませんが、安易な飼育は慎み、もし飼う場合でも、しっかりとした繁殖計画を立てて、臨むべきだと書かれています。
インドホシガメはオスとメス両方とも飼育していて、彼らが快適に過ごせる環境づくりと、繁殖に向けて日々努力しています。
この掲示は、飼っている私にとっても彼らを飼育することについて再び考えさせられました。
繁殖は容易ではありませんが、いつか成功させ、絶滅が危惧される彼らの種の保存に少しでも貢献していきたいと思っています。
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