ゾウたちの年ごとの比較、今回もやっていきます。
前回は、東山動植物園のアジアゾウ (Elephas maximus) のコサラの年比較を紹介しました。
今回は、同じく東山動植物園から、アジアゾウのアヌラ (♀) の年比較を紹介いたします!
東山で生まれたさくら (♀) の母親でもある彼女。
さらに、2022年6月26日に第二子を出産しました!
そんな彼女を紹介します。
1.はじめに アヌラについて
まずは、アヌラの基本情報、来歴などを簡単にご紹介いたします!
名前:アヌラ (Anula)
種:アジアゾウ
亜種:スリランカゾウ (Elephas maximus maximus)
生年月日:2001年10月20日
出生地:スリランカのピンナワラゾウ孤児院(Pinnawala Elphant Orphanage)
来園日:2007年7月28日
(この情報は、園内看板より引用。)
アヌラは、2001年にスリランカで生まれた個体で、2007年にオスのコサラと共に来園しました。
おっとりした性格で 、頭頂部の窪みが他の個体よりも目立っています。
①がアヌラ、②がワルダー、③がコサラ、④がさくらの頭。
特にさくらと比べると、頭部の窪みが目立っていることがわかります。
また、東山のアジアゾウの4個体の中で唯一、右巻きにモノを掴むことができる個体です(1)。
そして、東山で飼育されている個体の中では3番目に小さく、耳先が仏像の福耳のようにみえるのが特徴的です!.png)
左から、アヌラ、さくら、ワルダー、コサラの耳の写真です。
アヌラの耳の下あたりの垂れさがり具合が、仏像の福耳のように見えます。
一緒に来園したコサラとは大変仲が良く、2013年には第一子のさくらを出産し、国内では6例目となる繁殖に成功しました!(2)
初めての子育てにもかかわらず、立派にさくらを育て上げました。
2020年夏にはコサラとの交尾が確認され、2022年6月26日に、第二子 (♀)を無事出産しまし、順調に子育てをしています。
詳細については、東山の公式HPをご覧ください。
引用文献
(1) ぴあ (2020) あまりに細かすぎる東山動植物園ガイド 東山動植物園公認ガイドブック ぴあ株式会社
(2) 茶谷公一, 佐藤康弘 (2013) 東山動物園におけるアジアゾウの繁殖 JVM獣医畜産新報 66 (11) 818-819 文永堂出版
年比較 アヌラのようす
さて、これからは私が撮影した、アヌラの年ごとの姿をご紹介いたします。
その1 2016年(14歳)
写真は左が2016年9月22日、右が2016年7月30日撮影。
この年は、さくらが3歳を迎えた年で、まだ授乳はしていましたが、ほとんど離乳に近い状態でした。
この時で既にオトナでしたが、後ほど紹介する写真と比べると少し幼さが残ります。
この時の体重は約3トンほど。2007年の来園時(5歳)は、約1.5トンだったため、倍以上に大きくなっています!
この時のアヌラとさくらの大きさはこのような感じでした。まださくらの方が小さいですね!
その2 2020年(18歳)
写真はいずれも2020年2月14日撮影。
以下の写真にご注目ください!2016年とは異なる点があります。
1枚目:2016年時 2枚目:2020年時
背中の部分の色が茶色に変化しています!
これは体色が変化したのではなく、彼女が浴びた泥に由来するもの。
ちなみに泥は、ゾウたちにとってはなくてはならないもの。泥浴びをすることで肌を乾燥や日光から守ったりする効果があるといわれています。
この泥は飼育員さんが、粘土を採取し、好みの泥の粘度にあわせて調整をくわえています。
体格等はさほど変わりません。
この年の7月下旬に、コサラとのペアリングがおこなわれ、無事交尾が確認され、翌年妊娠が発覚しました!
その3 2022年(20歳)
写真はいずれも2022年5月15日撮影。
写真を注目していただくと、足の部分(赤丸で囲んだ場所)に何やら輪のようなものがあります。
これは、出産時に一時的にチェーンで繋ぐための輪。こうすることで、ある程度動きを制御し、もし赤ちゃんに何かあった際にも対処がしやすいといわれています。
これについては、日々のトレーニングで付ける練習を重ねています。
また、2020年と比べ、お腹の中の赤ちゃんの成長もあり、お腹が大きくなってきました。
左が2020年9月10日撮影、右が2022年5月15日撮影。
ゾウは元々体が大きいため、外見だけで妊娠を早期判定するのは難しいとされています。しかし、2枚目は出産間近ということもあり、だいぶ腹部が大きくなっていることがわかります。
お客さんの中には、中の赤ちゃんがお腹を蹴るような動きを目撃したという方もいらっしゃいます。
さらに、乳房も目立つようになりました。
2022年5月18日撮影。
アヌラは、前回のさくらの出産直前にも、乳房が大きくなっていることが確認され、出産数日前には乳汁も分泌されたようです。
生まれる予定の赤ちゃんのための体の準備が整ってきていることがわかります。
さらに、生まれたさくらと比べると、体格差はかなり縮まってきました!
1枚目(上)が2017年3月27日、2枚目(下)が2022年5月15日撮影。
さくらの背中の上にある赤いバーと、アヌラの背中にある矢印に着目すると、体格差が縮まっていることがわかります。
(以下、2022年7月21日更新)
6月26日にメスの赤ちゃんを無事出産し、順調に子育てをしているそうです。
曰く、とても安産だったようで、長女のさくらも妹の面倒をしっかりみているのだそうです。
7月20日からは時間限定で親子の一般公開がはじまりました!
興味がある方はぜひ。
私も近いうちに、親子の様子を見に行こうと思っています。
読者の皆様も、是非アヌラに会いに行ってみてください!
かみやん
癇癪持ちのさくら。
返信削除さくら、最近は成長と共に落ち着いてきました。今でも興奮した時は母のアヌラや飼育員が来るとすぐに落ち着いています。
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