多賀町立博物館 天然記念物のアケボノゾウの化石に出会う

先月に、滋賀県にある多賀町立博物館を訪れました。

滋賀県多賀町は、日本固有の化石ゾウ、アケボノゾウ (Stegodon aurorae) のほぼ完全に近い状態の化石 (多賀標本) が発掘されたことで有名な場所で、

その化石が昨年、天然記念物指定されたことで話題になりました。

それが多賀町立博物館で常設展示されています。

その存在を知り、多賀へは自宅から下道で行けることがわかったので、日帰りドライブで行ってみることにしました。

こちらは、発掘された化石をもとに組み上げたレプリカ。博物館入り口前のホールで公開されています。


多賀町立博物館がある、あけぼのパーク多賀の入り口はこんな感じ。


天然記念物に指定されたこともあり、大きなのぼりが立っていました!
この建物には、博物館だけでなく、図書館や会議室などが併設され、町の教育文化施設のような役目をしているようです。

博物館では多賀町付近の自然や地質、文化などが紹介されています。

こちらは、ギフチョウ (Luehdorfia japonica)。本州の里山だけに生息するチョウの1種で、
4月頃、里山をふわふわと飛翔し、舞い降りるさまから、「春の女神」や「春の妖精」という二つ名が付けられているのだそうです。

多賀町付近にも生息しているそうですが、森の手入れが少なくなって生息地が減り、個体数が減少し、絶滅がとても心配されているそうです。


そして、いよいよアケボノゾウの「多賀標本」とのご対面です!

こちらが天然記念物に指定されたアケボノゾウの多賀標本。1993年に発掘されました。
見つかった骨は、全身の約7割ほどだそうです。

牙や下顎など、体の一部分は各地で出土していますが、
このような全身がわかる化石が発掘されたのは大変珍しく、国内で発掘されたゾウの仲間の化石の中では最もよく揃っているのだとか。


こちらが、天然記念物に指定された理由についてのサイン。
保存状態が良く、かなりの割合が見つかったことなどが決め手となったようです。


また、アケボノゾウの大きさがよくわかるパネルもありました。


左から、サバンナゾウ (Loxodonta africana) 、アジアゾウ (Elephas maximus) 、
アケボノゾウ、そして成人男性の順に並んでいます。

サバンナゾウと比べると、随分小柄ではありますが、牙はかなり目立ちます。
アケボノゾウについては、過去記事で詳しく紹介しています。興味のある方はそちらもご覧いただけると嬉しいです。

また、多賀町ではナウマンゾウ (Paleoloxodon naumanni) の化石も見つかっています。

これは、牙の化石。全身は見つかってはいませんが、これまでに牙や臼歯などが多数見つかっているそうです。

そして、屋外の中庭には、アケボノゾウの多賀標本の発掘当時の現場のレプリカが展示されていました。

これが埋まっていた当時の状況で、さまざまなアングルで見られます。

発掘現場は工業団地を建設中だったそうで、作業をしていた建設会社の方が大きな骨らしきものが埋まっているのを見つけたのががはじまりだったそう。

その情報が、この地域の地層に目を付けていた学校の先生たちに届き、発掘をおこなった結果、1個体分の化石が見つかったのだそうです。


博物館の出口には、アケボノゾウを模した可愛いイラストの看板が。

もし興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、滋賀に行かれる際にはぜひ立ち寄ってみてください!




















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