ゾウたちの成長・年比較 サバンナゾウのケニー

4月度の私の活動計画にもありましたように、少しずつゾウの写真を充実させていくとありましたが、今月からは、ゾウたちの年ごとの比較をご紹介したいと思います!

彼らの平均寿命は約60~70年といわれています。


寿命が長いことから、1個体のゾウが数世代にわたって親しまれていることもあります。ヒト以外の動物たちは寿命がさほど長くない種もいる中で、

成長の過程を長い目で追うことができるのは、とても魅力的だと思っております。

今回は第1弾として、名古屋の東山動植物園で暮らしていた、サバンナゾウ (Loxodonta africana)のケニー (♀, 1973~2020)の年比較をご紹介いたします!


1.はじめに ケニーについて

まずは、ケニーについての基本情報、来歴などを簡単にご紹介いたします!


愛称:ケニー (Kenny)

種:サバンナゾウ (Loxodonta africana)

生年月日:1973年 (推定)

出生地:ケニア (野生)

来園日:1975年11月10日 

死亡日:2020年8月10日

(個体情報は園内看板から引用)

ケニーは、1973年に生まれたとされる個体で、

40年以上にわたって東山で過ごしてきました。

性格は大人しく、寂しがり屋なところがありました。仲の良い飼育員さんと遊ぶことが大好きで、数カ月前にした遊びをもう一度しようと、誘うこともあったそうです。

来園した時から暮らしていたマルサ (♀, 1963~2003)とはとても仲が良く、姉のように慕っていました。その為マルサの死後、情緒不安定になり、性周期が戻るのに約1年かかったとも。

子宝には恵まれませんでしたが、大きく体調を崩すことも少なく、大好きな飼育員さんに見守られ健康に過ごしてきました。

しかし、2020年8月10日に、急性腹膜炎でこの世を去りました。彼女を最後に、東山でのサバンナゾウの飼育は終了してしまいました。


引用文献

NPO法人東山動物園くらぶ編 (統括:櫻庭陽子,神山拓海) (2017) ず~っといっしょ2 東山動物園公認ガイドブック 中日新聞社

ぴあ (2020) あまりに細かすぎる東山動植物園ガイド 東山動植物園公認ガイドブック ぴあ株式会社

東山動植物園 報道発表 アフリカゾウのケニ―が死亡しました http://www.higashiyama.city.nagoya.jp/news/archives/2020/08/6a8d7a993557e9424a76d3cefd4ae0bdd7e16e8b.pdf


年比較 ケニーのようす

さて、これからは私が撮影した、ケニーの年ごとの姿をご紹介いたします。

その1 2007年(推定33歳)


いずれも、2007年3月10日撮影。

両方とも立派な牙が生えており、右の牙で食事をキープしたり、木の皮を剥いだりなどして使うことが多かったためか、右の牙がすり減って短くなっていることがわかります!
一方、左の牙は、長く、先がとがっていました。


その2 2016年(推定42歳)

いずれも2016年9月1日撮影。

両方とも立派な牙が生えているのは2007年時と変わりありませんが、右の牙が以前よりも伸び、左の牙が摩耗し、先が丸くなっているのが見て取れます。

右の牙は伸びてはいますが、牙の間に餌を挟んだり、樹皮を削ったりするにはもっぱらこの牙を使っていました。

体格も2007年時と比較的似ています。


その3 2017年(推定43,44歳)


左は2017年10月26日、右は2017年12月28日撮影。

その1、その2と比べると、両方ともあったはずの立派な牙が無いことがわかります。

2016年9月頃に、牙を折ってしまい、口外から牙が見えなくなりました。

牙を折って間もない頃は、神経が露出し、痛むのか、食欲をすっかり無くし、少し痩せてしまっていました。

こちらは、牙を折って間もない、2016年9月22日に撮影したもの。常連さん曰く、この時は牙を折った翌日とのことでした。痛みでぶつけたのか額には生傷があり、折ってしまった牙の部分を鼻でさすって痛みに耐えようとしていました。


2017年の撮影時は、牙を折ってしまってはいたものの、状態は落ち着き、食欲は戻り、飼育員さんたちの手厚いケアのおかげでとても落ち着いて過ごしていました。

体色が赤茶けているのは、彼女が浴びたの泥の色によるものです。


その4 2020年(推定45歳)


左は、2020年6月9日、右は2020年8月5日に撮影。撮影者は私です。

牙が口外から見えない状態なのは変わりませんが、牙を折ってしまってから、毎日、折れた牙の洗浄や消毒などの治療を飼育員さんに毎日してもらっていました

牙が折れてしまうと、そこから細菌などが侵入し、感染症になってしまうこともあります。
そうならないよう、毎日の治療は欠かせませんでした。


これは、2019年7月28日撮影。飼育員さんが柵越しに、消毒薬を付けた竹棒を牙の根元に塗っています。

これは、褒めて伸ばすトレーニングを応用したもので、目的の動作ができると、飼育員さんから褒めてもらったり、報酬として好きな餌をもらっています。

こうした治療は彼女の協力あってのもの。しっかりとした信頼関係が築かれていました。



体型はバランスの良い体型を維持していました。

右の写真の撮影から、5日後、急性腹膜炎で亡くなってしまいました。


おわりに
惜しまれつつも、2020年にこの世を去ってしまったケニー。私にとっては、ゾウや動物園を知ることの楽しさや面白さを教えてくれた大切な存在です。彼女についてはまた詳しく紹介できればと思います。

少しずつ、他のゾウたちの成長のようすもアップしていく予定です。
応援してくださると嬉しいです!


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