神山です。
前回は、1月12日に訪れた、琵琶博こと、琵琶湖博物館のここがいいぞ!に絞った紹介をしましたが、今回からは私のお気に入りのコーナーなどをご紹介いたします!
まずは、大昔の琵琶湖を闊歩した、古のゾウたちをご紹介いたします。
琵琶博では、琵琶湖の生い立ちを紹介する「第1展示室」があり、そこには、琵琶湖の生い立ちが紹介され、そこに古代のゾウたちの展示があります!!
1.ゾウ王国、琵琶湖
琵琶湖は約400万年前に誕生し、その形を変えながら、今に至る古代湖。今では信じられませんが、かつての琵琶湖付近にはゾウの仲間たちが5種も生息していました!
生息が確認されていたのは、以下の5種でした!
1 ミエゾウ(Stegodon miensis)
2 アケボノゾウ(Stegodon aurorae)
3 トウヨウゾウ(Stegodon orientalis)
4 ムカシマンモス(Mammuthus protomammoteus)
5 ナウマンゾウ(Paleoloxodon naumanni)
これら5種は大きさも様々で、体高4m近くになったといわれるミエゾウから、体高2.2mとかなり小柄だったアケボノゾウ、アジアゾウ(Elephas maximus)とほぼ変わらない大きさだったナウマンゾウなど。
特に、ミエゾウやアケボノゾウは滋賀県や、私が住む三重県などで化石が沢山出土しており、滋賀県の多賀町で発見されたアケボノゾウの骨格は、全身の約4割が出土した大変珍しいもので、国の天然記念物に指定されています。
琵琶湖付近のゾウは、約500万年前に日本に渡来した、ツダンスキーゾウ(コウガゾウ)(Stegodon zdanskyi)が基となっているとされています。そこまで形を変えなかったのがミエゾウ、寒冷化に伴い体格を小型化して日本の環境に適応したといわれるのがアケボノゾウでした。
日本に渡来したとされる、ツダンスキーゾウ。体高は約4mにもなったといわれます。
祖先種であるツダンスキーゾウ、ミエゾウ、アケボノゾウ、トウヨウゾウは、現代のゾウ科とは異なる、ステゴドン科というグループ。ステゴドンとは、ラテン語で「屋根の様な歯」という意味だそう。牙と牙の間隔が狭く、牙の間を鼻が通らないような形で復元されることもあります。
ミエゾウの頭蓋骨(復元レプリカ)。牙と牙の間隔が狭いのが特徴。後に現れたアケボノゾウも構造はよく似ています。
こちらは、サバンナゾウ(Loxodonta africana)の頭蓋骨。牙と牙の間隔が広く、間に鼻が通るような構造に。因みにこの頭蓋骨の主は、多摩動物公園で飼育されていた、タマオ(オス、1967~2006)です。(国立科学博物館にて撮影)
ムカシマンモスとナウマンゾウは現生のゾウと同じゾウ科。そのため、上記のサバンナゾウの骨格とよく似た構造を持ちます。
特にナウマンゾウは、アジアゾウと比較的近い関係にあったようです。
2.ゾウがいたころの環境
琵琶湖は、元々三重県の伊賀市辺りに存在し、地形の変化や地殻変動などで、現在の場所に行き着きました。
3.日本固有のアケボノゾウ
琵琶博は、化石ゾウたちの展示が充実していますが、特にアケボノゾウの展示が充実していました!
アケボノゾウは、1.でご紹介した、ステゴドン科のゾウ。現生のアジアゾウの平均的な体高より低いサイズです。
アケボノゾウの全身復元骨格。立派で長大な牙が目立ちます!
滋賀県では多数化石が見つかっていますが、その中でも、滋賀県多賀町にて発見された骨格は、全国でも最も完全に近い形で発見されました!!
これにより、正確な復元が可能となり、化石ゾウの研究が大いに進展したといいます。
それらの功績もあり、2021年12月に、国の天然記念物に指定されました!
因みに彼らは、日本以外では現時点では化石が見つかっておらず、日本固有種といわれています!
徐々に寒冷化が進んだ日本。食料が小さくとも済む、小さな体の個体が生き残りやすくなり、大陸から渡来した祖先種よりも小型化したといわれています。
多賀にて発見されたアケボノゾウの化石は、多賀町立博物館にて常設展示されています。
興味のある方はそちらも訪れてみてはいかがでしょうか。
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