神山です。
先月1月12日に訪れた琵琶博。前回までは古の琵琶湖で暮らしたゾウたちや、ゾウにまつわるエピソードをご紹介しました。
今回からは、琵琶博の名物、水族展示室を数回に分けてご紹介します!
深淵に棲まう、巨大なヌシ
琵琶湖の深部には、ヌシと呼んでもいいほどの迫力をもつ、巨大なナマズが棲んでいます。
その名は、ビワコオオナマズ(Silurus biwaensis)!
琵琶湖に生息する魚類の中では最大で、その大きさは、100cm~120cm!
昼間は琵琶湖の深部に居ることが多いですが、夜間になると中層部や表層部に出現し、アユ(Plecoglossus altivelis)やビワマス(Oncorhynchus masou rhodurus)、二ゴロブナ(Carassius auratus grandoculis)に、外来生物のブルーギル(Lepomis macrochirus)といった様々な魚類を捕食します。
ビワコオオナマズの餌でもある二ゴロブナ。私たちにとっても、重要な漁業対象種で、伝統的な発酵食品の「鮒鮨」に加工されます。
色々な魚を食べる彼らは、正に琵琶湖のヌシと言っても良い存在だと言えます!
また、彼らは、琵琶湖が誕生した大昔から生存しているといわれ、最古の化石は約350万年前のものが見つかっています。
琵琶湖の深層に生息する彼らですが、初夏に産卵期を迎えます。雨の降る真夜中に、沿岸部に出現し、そこで繁殖行動や産卵がおこなわれるといいます。
生まれた稚魚は、約6mm。彼らがどのようにして成長していくかは、まだよくわかっていないとのこと。
さて、お次は、琵琶博のビワコオオナマズのエリアを見てみましょう!
琵琶博での飼育エリア
こちらが、琵琶博のビワコオオナマズのエリアの全景。
エリアの中央に、巨大な円形の水槽があり、そこにビワコオオナマズがいます!
このエリアポイントは、主に2点!
1 昼夜を逆転
夜行性のビワコオオナマズの姿を見てもらうために、エリアを昼夜逆転させています。これは動物園の夜行性動物エリアの手法と同じ。彼らは水槽の中のシェルターから顔をのぞかせていることが多いですが、運が良ければ泳いでいる姿が見られるかもしれません。
2 様々な角度から観察可能!
水槽の表側(写真前方)だけでなく、裏側の覗き窓からも、様々な角度から観察できます!野生ではなかなか姿が見られない彼ら。そんな彼らをいつでも、そして様々な角度から見られるのはかなり貴重といえます。
水槽の裏側には、彼らの暮らしぶりなどの情報が見られるコーナーがあります!
彼らの暮らしぶりについて知ることができ、野生で撮影された貴重な写真も見られます!
さらに、私が訪れた時は、ビワコオオナマズの稚魚が公開されていました!!
このとき展示されて居た個体は約3cmほど。成体でもなかなかお目にかかれないといわれますが、稚魚となるとなおさら!恐らく野外で採取された卵から孵化したものだと思いますが、この稚魚の成長過程を調べることで、ビワコオオナマズの成長など、さまざまなことがわかるかもしれません。
この稚魚が無事成長し、大きくなることを願わずにはいられません!
余談 ビワコオオナマズの味は?
とても大型になるビワコオオナマズ。一見すると肉量が多く、美味しそうと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
実際は、あまりおいしくないといいます!
しかし、ごく一部の地域では、食べている所もあるそう。曰く、調理前の下処理として、ぶつ切りにして湯がき、切り身に含まれる脂身を丁寧に取り除きます。脂身の味がまずいのだそう。下処理をした後は、煮付けなどとして食べられます。
食べるための方法もごく一部の地域しか存在せず、味も良いとはいえなかった彼ら。それもあってか、今も琵琶湖で生き続けているのかもしれません。
神山
引用文献
前畑政善 (2019) 琵琶湖博物館ブックレット⑨ ビワコオオナマズの秘密を探る サンライズ出版
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