神山です。
前回は、先月1月12日に訪れた琵琶博のビワコオオナマズを取り上げましたが、今回は、琵琶湖に多数生息する、コイ科の仲間たちをご紹介!!
コイ科は、淡水魚の中では、最も種類の多いグループで、日本各地の川や湖、池などでその姿を確認できます。
大きなものだけでなく、小さなものや、二枚貝を保育器代わりに使う種など、姿形は様々。ここでは琵琶博で見られる代表的な3種をご紹介。そんな彼らの世界を見てみましょう!
1.二ゴロブナ(Carassius auratus grandoculis)
全長30cmほどになるフナの仲間で、琵琶湖固有種。
古くから琵琶湖では漁業対象種とされています。
特に、塩漬けにした本種とご飯を漬け込み、醗酵させた「鮒鮨」の基となる魚で有名です!
鮒鮨としては、卵をもったメスが使われることが多いとか。
普段は琵琶湖の沖合に生息していますが、4月~7月の産卵期には琵琶湖岸のヨシが生える浅めの水辺や、内湖といわれる水域に移動し、産卵行動が見られます。鮒鮨用の捕獲も、この時期におこなわれることが多いそうです。
琵琶博では、ゲンゴロウブナやコイ、イチモンジタナゴといった他のコイ科の仲間たちと同じエリアで混合飼育されています。
2.ホンモロコ(Gnathopogon caerulescens)
この魚は、ホンモロコ。コイ科タモロコ属に属する淡水魚で、琵琶湖の固有種。琵琶湖では沖合に生息しています。
体長は15cm程。先程の二ゴロブナよりもシャープな印象を受けますね!
東京の奥多摩湖や山梨県の山中湖などにも移入され、そこでも生息が確認されています。
シャープな体型は、体への抵抗をやわらげ、沖合で遊泳するのに適しているといわれています。
そんな彼らも琵琶湖付近では古くから漁獲対象で、様々な調理法で食べられてきました。
モロコの類は、よく佃煮にして食べることが多いですが、ホンモロコは身がたくさんのっているため、塩焼きにしたり、天ぷらや南蛮漬けにしたりすることも多いのだそう。
館内にも素焼きのサンプルがあり、それを見ているだけでも食べたくなりました(笑)
しかし、ホンモロコは開発や外来魚による捕食などで、絶滅が心配されているため、獲れる量が少ないのが現状。
固有種である彼らを守るためだけでなく、こうした食文化を伝承するにも、彼らが生き続けていける環境であるにはどうしたらよいか、考えたいですね!
3.ミヤコタナゴ(Tanakia tanago)
7cm程の大きさの小型の淡水魚で、繁殖期のオスは、下腹部がオレンジ色に染まる美しい魚です。
関東地方の限られた水域のみに生息する固有種。
彼らは、なんと保育器のように、二枚貝の中に産卵し、一生の約半分を貝の中で過ごすといわれています!
彼らは、ワンドと呼ばれる川の側にある小さな池や沼に生息し、季節によって川の本流とつながったり、離れたりと水量の変化の激しい地域です。
二枚貝の中で産卵し、その中で一生の約半分を過ごす暮らしぶりは、このような場所への適応であると考えられています。
しかし彼らも、河川の護岸工事や開発でワンドが埋め立てられて生息場所が減少していることや、外来魚による捕食や密漁などで数を減らし、絶滅が心配されています。保育器となる二枚貝も減少しており、さらに拍車がかかっています。
彼らだけでなく、他種のタナゴたちも同様の理由で数を減らしています。
こうした彼らを守るべく、琵琶博では彼らの繁殖に積極的に取り組んでいます!
館内に、保護増殖センターを設置し、ミヤコタナゴをはじめ、様々な絶滅の恐れのある魚類を飼育し、繁殖に取り組んでいます!実際に多数の種で継続した繁殖に成功し、その実績は高く評価されています。
万が一野生で絶滅した際の保険として、今は絶滅した場所で、彼らが棲める環境が修復されたと認められた際などに、野生復帰できるようこうして個体群を維持しています。
センターは一部が見られるようになっており、ずらりと生簀が並んでいます。公開用のスペースと別に繁殖用のセンターを設けている動物園や水族館はいくつかあります。
(例)横浜市繁殖センター(よこはま動物園ズーラシアの敷地内にあります。普段は非公開)
彼らは、同じ種でも棲む水系によって、外見や遺伝子などが少しずつ異なります。そのため、それらの純粋性が保たれるよう水系ごとに管理されています!
今回は、琵琶博で飼育されているコイ科3種を取り上げ、暮らしぶりや、人間との関係や、そして彼らを守る取り組みについてご紹介いたしました。
最後は、魚類以外の動物たちをご紹介いたします!
神山
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